「不動産ID」が構築される?!

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昨年、中古住宅の売買取引を透明化する官民プロジェクトが10年以上も迷走しているという記事が出ました。不動産業界がオープンな情報システムによって既得権を脅かされると警戒しており、建物や土地を登記簿の番号で管理する「不動産ID」構想も骨抜きの様相を呈しているようです。閉鎖的な不動産業界においては、DX(デジタルトランスフォーメーション)の機会損失は膨らむばかりだという内容でした。

国土交通省が9月に立ち上げた不動産IDの官民検討会。初回会合の資料には「各情報保有主体・活用主体がどのように情報を連携させるかについては、各主体の発意・主体間の交渉に委ねる」と記載されているようで、要約すると「不動産IDをつくっても、その先の個々のデータ連携にまで国は口を出さない」という事になっております。

そもそも「不動産ID」とはどのようなもの?!

ちなみに不動産業界の情報の収集・整理・管理は煩雑で、宅建業者、デベロッパーなどは仲介や開発などの際に、独自に情報を収集、名寄せなどの作業をしなければなりません。

そこには、例えば以下のような課題があります。

・不動産の改修履歴の情報は不動産側に紐づいておらず、担当した各事業者側に点在しており、何社も関わっている場合履歴を一元化することが至難である

・「三丁目」と「3丁目」など住所情報に表記ゆれがあり同一物件の特定が困難

こうした課題を根本から解決するために、国土交通省では不動産共通IDをつくり、データ連携が円滑に行えるように動いています。

具体的には土地、建物(戸建て)、建物(区分所有建物ではない共同住宅)、区分所有建物の不動産の種類ごとに不動産登記簿の不動産番号を用いる形でIDに関するルール整備を行おうとしている流れです。

不動産の共通IDはいわば不動産版のマイナンバーのようなものといえます。

昨年の国交省の発表では2021年度中にデータ連携の指針をまとめ、2022年度からの運用を目指すとしていましたが、この流れの実現は難航しています。

不動産IDの仕組みのメリットについて

国交省「不動産IDのルール整備について」(2021年4月15日)を見てみると、不動産に

共通の「不動産ID」を創ることで以下のようなメリットがあると示しています。

1.不動産市場の透明性が向上し、不動産取引が活性化。コロナ禍の影響による市況急変を緩和する効果も期待

2.不動産取引に必要な情報入手に係る時間・手間、費用面でのコストが低減し、不動産業の生産性・消費者の利便性向上が図られる

3.必要なる情報入手が容易になり、低未利用不動産の利活用、所有者不明土地の所有者探索に資する

4.不動産取引に係るテクノロジーの一層の活用:不動産情報サイトにおける物件の重複掲載防止、おとり広告排除、AI価格査定の精度向上

いずれにせよ、過去の不動産業界の流れを変えていく上に置いて、「不動産ID」の活用は必要不可欠になっていくものと考えます。

実は「不動産ID」を巡り、議論が進んでいない過去の経緯がある!

実は不動産IDの構想は、2008年の国交省研究会の提言にさかのぼります。このときは個人のプライバシー保護などを理由に不動産業界が賛同しませんでした。都市計画や防災といった行政情報と、不動産業界の業者間データベース「レインズ」を連携させる「不動産総合データベース」も初歩的な試験運用をしただけで立ち消えになっています。

中古住宅の取引データベースとして国交省が手本にしてきたのが米国の「MLS」というシステムです。全米の約600の民間データベースで構成され、売り出された物件は不動産業者との契約から原則24~48時間以内に掲載されるルールとなっています。過去の成約価格やリフォーム履歴、税金関係の公的情報も網羅され、掲載ルール違反には除名など厳しい罰則があります。

一方、日本のレインズの仕組みは、売主と一対一の専任契約をした不動産会社は5~7日以内にレインズに物件情報を登録する義務がありますが、違反が少なくなくありません。自社で買主も見つけ、売主と買主それぞれから仲介手数料が取れる「両手取引」につなげる方法を取りたがる事業者が多く、利益相反関係も条件付きで許されているような状況となっています。また、成約データを報告する流れも明確に決まっている訳ではない為、データの欠落、取引の透明度が低いといった状況となっています。

以上の事を踏まえ、早く「不動産ID」の制度構築を進めてもらいたいと思っています。

今後の参考にお役立て下さい。